都心部を中心にマンション価格が上昇する中、購入後にかかる維持費用も急速に膨らんでいるようです。管理費や修繕積立金はこの5年で2〜4割上昇したとの調査もあり、家計への負担は無視できないレベルに達しつつあります。マンション所有者や購入希望者は、価格だけでなく「維持コストの将来像」を見据えた判断が求められます。
■年々高まるマンション管理費について
「ここ5年で3回目の管理費値上げだ」。東京都内の築15年超・400戸規模の大規模マンションがあるようです。2025年末に管理会社から届いた値上げ要請に頭を抱え、人件費の上昇を理由に、すでに10%以上の値上げを2度受け入れてきたが、連続の値上げには住民の反発も強いというものです。人手不足の深刻さは理解しているが、住民の負担感も限界に近づいている為、これからマンション購入を検討されている方はこの事情も把握するべきです。マンションでは一般的に、日常的な維持管理に使う「管理費」と、大規模修繕に備える「修繕積立金」を毎月徴収しています。この2つの費用が軒並み上昇しており、特に20階以上のタワーマンションでは管理員の配置や設備維持の手間が増えるため、負担が重くなります。
■構造的な人手不足と物価上昇により、マンションの維持費高騰
LIFULLの調査によれば、東京都23区の築10〜20年の中古マンションでは、管理費が最大18%、積立金は43%も上昇しているようです。管理員や建設職人の不足は構造的で、短期的に改善する見込みは望み薄と言わざる負えません。資材価格の上昇も追い打ちをかけ、修繕計画の見直しを迫られるマンションが増えています。国土交通省の「2023年度マンション総合調査」では、修繕計画に対して積立金が不足していると回答したマンションは36.6%。しかし「不足・余剰が不明」とする23.5%のマンションは、管理組合が現状を把握できていない可能性が高く、実際には不足しているケースはさらに多いものと予想されます。
■融資利用も増加している?!マンションの積立金不足は深刻化!
積立金が不足したマンションが利用する住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」は年々増加し、2024年度は257億円と過去最高を記録したそうです。融資を受ければ返済分も積立金に上乗せされるため、住民負担はさらに増えます。
■マンションの購入前のチェックが必須に!
マンション購入希望者は、物件価格だけで判断するのは危険な時代となりました。国交省の積立金ガイドラインや周辺相場と比較し、現在の積立金が適正かどうかを確認する必要があります。販売価格が割安に見えても、維持費が相場より低く設定されている場合、将来的に大幅な値上げが避けられないケースも多くあります。修繕周期を12年から18年に延ばすことで、長期的には工事回数を減らしコストを抑えられるケースも多くあります。しかし、耐久性の高い資材の採用や専門家による詳細な診断が必要で、1回あたりの工事費はむしろ増える傾向にあります。住民の理解を得るには半年〜1年の議論が必要になることも多く、結果、修繕せずにいるマンションもあるようです。
■マンションの管理会社の変更は万能策ではない
管理費の値上げを避けようと管理会社を変更しても、人手不足は業界全体の問題であり、引き受け手が見つからないケースも増えています。管理会社の変更は「費用削減の切り札」ではなくなりつつある。これからマンション購入をしようと思われている方は、購入価格だけではなく、管理費と修繕積立金についての事前把握もお忘れないようご注意ください。今後の参考にお役立てください。
法人営業部 犬木 裕