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不動産市場において、相場より安い物件には必ず理由がある?!


インターネットでお住まいをお探しになる際、「なぜこの物件はこれほど安価なのだろう」と疑問に思われることがあるかと思います。

多くのお客様も同様の疑問を抱かれた経験がおありかもしれません。

このような価格設定の背景には、多くの場合、以下のいずれかの要因が関係していることが一般的です。


■1つ目は、『容積率・建ぺい率オーバー』について


「建ぺい率」と「容積率」は、建物を建てるときに、その土地に対してどのくらいの大きさの建物を建てていいかを決めるルールです。

これらは建築基準法によって定められており、地域ごとに上限が設けられています。また、建ぺい率・容積率オーバーには、以下の2つのケースがあります。

 

1. 既存不適格建築物

建築当時の法令には適合していたものの、その後の法律改正等で現行の法令に適合しなくなったケース 建ぺい率オーバーの建物はリフォーム可能?既存不適格か違法建築かが鍵 | Rediaです。

これは決して違法建築ではなく、継続して住むことができます。

 

2. 違法建築(違反建築)

建築時から法令に違反している建物や、後から無許可で増築・改築を行った建物を指します。

 

このような物件は価格が安く設定されていることが多いですが、将来的な売却困難や融資の制約を十分に理解した上で検討する必要があります。

購入を検討する際は、必ず専門家による詳細な調査を行い、リスクを十分に把握することが重要です。


■2つ目は、『再建築不可物件(接道義務を満たさない)』について


接道条件を満たしていない土地は、物件価格が大幅に安くなる主な要因の一つです。

接道義務とは、建築基準法第43条では、「都市計画区域内の建築物の敷地は道路に2m以上接していなければならない」と定められています。

この条件を満たしていない場合、建築許可が下りません。具体的には、以下の2つの条件を満たす必要があります。

 

1.敷地が幅員4m以上の建築基準法上の道路に面していること

2.その道路に2m以上の間口で接していること

 

再建築不可物件は建て替えができないので、ほとんどの物件で老朽化が進んでいます。

そのため、一度建物が壊れた場合、もう二度と建物を建てられず、その土地に住むことができなくなります 。


■3つ目は、『借地権付き物件』について


土地が借地権の場合、物件価格が安くなる大きな要因となります。

まずは所有権と借地権の違いについて、解説をします。

所有権とは、民法206条で「自由に所有物を使用、収益、処分ができる権利のこと」と定められています。

つまり土地の所有権は、所有者が土地を自由に利用できる権利となります。

これに対して、借地権とは 人から土地を借りて、その上に建物を建築して利用している場合、借り主には借地権が発生します。

借地権とは、土地を利用できる権利のことです。また、借地権が安い理由は下記の通りです。

 

1.初期費用は安いが継続コストが発生

借地権付き物件は、土地を借りている限り地代の負担が続きます。確かにマイホーム購入時の初期費用は抑えられますが、長期間借り続けるとトータルで見たときに時価を上回る地代を負担することになるかもしれません 。

 

2.資産性の制約

通常の土地付きのマイホームを購入した場合、所有権を得られるため土地は自身の資産となります。

一方、借地付き物件の場合には、たとえ旧法の借地権や現行法に基づく普通借地権が存在し、長期間にわたって土地を利用することが可能だとしても、その所有権は依然として地主が保持しています。

 

また、借地権は融資の制約をうけやすいと言われます。金融機関では、借地権物件に対して所有権物件と比べて融資条件が厳しくなるケースが多く、一部の金融機関では融資を受けられない場合もあります。


■4つ目は、『心理的瑕疵物件(事件や事故のあった物件)』について


事件や事故のあった物件は、不動産価格が大幅に安くなる主な要因の一つです。

そのような物件を心理的瑕疵物件と言われます。

心理的瑕疵とは、不動産が通常有する品質や設備自体に問題はないものの、住む人に心理的抵抗や嫌悪感を与える瑕疵のことです。

具体的には、自殺や殺人、一定期間放置された孤独死、火災、忌まわしい事件・事故などが当てはまります。これらが過去に起きた土地や物件のことを、一般的に「事故物件」と呼びます。

 

国土交通省では、心理的瑕疵物件の告知に関するガイドラインを策定しており、従来は関係者間で解釈や対応が揺れていた「事故物件の告知」について、初めて国から一定の基準が示されました。

心理的瑕疵物件は価格が大幅に安くなる一方で、将来の売却時にも同様の価格下落リスクがあります。

また、融資条件が厳しくなる場合もあるため、購入を検討する際は、価格の安さだけでなく、長期的な資産価値の観点からも慎重に判断することが重要です。事前に物件の履歴について十分に確認し、納得した上で購入することが大切です。

 

今後の参考にお役立て下さい。

 

法人営業部 犬木 裕