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ご存知ですか?相続放棄の手順について


相続放棄に踏み切る人は増えています。司法統計によると、2021年の受理件数は約252000件と11年比で5割超も増えているようです。親の負債を子が回避するパターンだけでなく、資産があっても遺産分割協議でトラブルに巻き込まれたくない、生前に被相続人と交流が乏しかったため相続に関わりたくないといった理由で放棄を選択するケースも目立っているようです。


■相続放棄の手順①(一般的な手順)


相続放棄を行うための一般的な手順は以下の通りとなります。

手続きは国や地域によって異なる場合がありますので、具体的な手続きは所在地の裁判所や役所に確認することをおすすめします。

 

(1)相続放棄の意思表示が必要です。相続人は、相続放棄の意思を裁判所または所在地の役所に届け出ます。届出書には相続人の氏名、住所、相続放棄の意思が明記されます。

 

(2)公証人の立会い: 相続放棄の届出書を提出する際、一部の地域では公証人の立会いが必要とされる場合があります。公証人は届出書の正当性や相続人の意思を確認します。

 

(3)届出書の提出: 相続放棄の届出書を所在地の裁判所または役所に提出します。手続きには一定の期限がある場合がありますので、早めに手続きを行うことが重要です。

 

(4)裁判所または役所の審査: 提出された届出書は、裁判所または役所によって審査されます。相続人の関係や相続放棄の要件を満たしているか確認されます。

 

(5)相続放棄の効力発生: 審査が完了し、届出書が受理されると、相続放棄が効力を発生します。相続人は相続財産に関する権利や責任を放棄したこととなります。

 

相続放棄には、財産分割や相続手続きに関する問題を回避するための利点がありますが、放棄後の財産や権利の行方については注意が必要です。相続に関する法的な助言を受けることもおすすめします。

 

例えば、父親の死後、金融機関からおよそ4000万円の返済を求める通知が届いた場合、借金を抱えていたことをまったく知らなかった相続人は、どうすればいいかについて、記載をしたいと思います。多くの方は司法書士に相談をし、相続放棄という方法がある知ると思います。相続放棄をすれば、返済を免れる事ができるようになります。

 

 

相続は預貯金や有価証券といったプラスの財産と、借金などマイナスの財産の両方を引き継ぐのが原則となっています。被相続人の死後に思わぬ負債に直面する人は少なくなく、こうしたケースで選択肢になるのが相続放棄という手段です。放棄をすると最初から相続人ではなかったことになり、資産は受け取れないが、負債を相続せずに済みます。


■相続放棄の手順②(詳細手続き)について


相続放棄の際には、まず着手したいのが亡くなった人の相続財産を調べることです。資産と負債がそれぞれどれくらいあるかを把握できれば、金額を比較して相続放棄をするかどうかを決めやすいからです。預貯金や株式といった金融資産は、預金通帳や郵便物などを手掛かりに故人が利用していた金融機関に問い合わせると把握が出来ます。

 

借り入れなどの負債も預金通帳の引き落とし履歴や請求書を確認しましょう。個人の借入額や返済状況などが登録されている信用情報機関に問い合わせるのも一案となり、法定相続人は被相続人の情報を照会できます。業態ごとに銀行は全国銀行個人信用情報センター、カード会社の加盟が多いシー・アイ・シー(CIC)、消費者金融が中心の日本信用情報機構(JICC)となっています。

 

家や土地などの不動産は資産価値を見極めることが重要になります。登記簿や固定資産課税台帳で故人の所有していた家や土地を確認し、周辺不動産の相場動向を調べる方法があります。また、マンションの資産性を参考までに把握するには、「AIマンション査定」というWEBシステムをご利用いただければ幸いです。

 

AIマンション査定

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こうした調査でプラスの財産よりマイナスの財産が多い場合は相続放棄が選択肢となります。

 

相続放棄をすると決めたら、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄申述書を提出します。相続放棄をする人の戸籍謄本や収入印紙なども必要となります。書式や記入例は裁判所のホームページでダウンロードでき、申述書を提出後、家庭裁判所から届く照会書の質問に回答し、家庭裁判所が受理すると相続放棄が有効となります。

 

相続放棄の重要なポイントは『期限がある』という事です。相続人は被相続人の死亡を知ったときから3カ月以内に手続きする必要があり、これは熟慮期間と呼ばれています。手続きを何もせずに熟慮期間を過ぎると、資産と負債を引き継ぐ「単純承認」をしたとみなされ、相続放棄ができなくなる場合があります。

 

しかし、熟慮期間は延長を家庭裁判所に請求でき、延長件数は2021年に約9100件に達しました。不動産など相続財産の精査に時間がかかるといった正当な理由があれば基本的に延長してもらえるようです。また熟慮期間を過ぎていても被相続人とほぼ交流がなかったなど債務の存在を知る機会がなかった場合、債務を知って3カ月以内なら相続放棄が認められることが多いようです。

 

相続放棄を円滑に進めるには、ほかにも注意点があり、熟慮期間中は相続財産に手を付けないこと。預貯金を使い込んだり、不動産を売却したりして相続財産を処分したと判断されると、単純承認とみなされ相続放棄ができなくなるようです。

 

相続順位は法律で定められており、順位が高い相続人が放棄すると次の順位に相続権が移ります。勿論、負債の返済義務も同様となり、例えば借金を抱えた故人に子供と兄弟姉妹がいた場合、子供全員が放棄すれば返済義務は兄弟姉妹に移るという事です。相続放棄をしたことは他の相続人に家庭裁判所から通知されないため、自分で事前に伝えておくとトラブル防止になるようです。相続放棄は基本的には撤回ができません。メリット、デメリットを踏まえて慎重に検討する事をお忘れないようにしていただければ幸いです。

 

今後の参考にお役立て下さい。

 

 

法人営業部 犬木 裕