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戸建住宅購入時に気を付けたい『境界』について(1)


所有する土地の境界線を明確にしておかないと、不動産購入時や注文住宅を建てる際にトラブルが発生する可能性があります。土地の境界を確定する方法や注意点について、2回に分けて解説をしたいと思います。ちなみに、私の自宅も少しこの境界問題で土地形状がいびつになっている事もあり、実例を交えて解説をしたいと思います。まず、境界確定について解説する前に、境界とは何かについて説明させていただきます。


■購入後では遅い、不動産購入時に気を付けたい『境界』とは?


境界とは、一般的には土地境界を意味し、土地と土地、もしくは公共用地と土地の境目のことを意味します。その境目には、境界標が設置される事が多く、不動産購入前にはこの境界標を現地確認されるお勧めします。

 

一般的に境界標で示された土地の境目を「境界」と呼ぶことが多く、「筆界」と「所有権界」という2種類に大別され、それぞれ意味が異なる事をご存知でしょうか?

 

そもそも「筆界」とは明治時代の地租改正によって確定し、登記された土地の境界のことをいいます。地租改正の際、一般的に「公図」と呼ばれる「土地台帳附属地図」に線が引かれ、これを「筆界」としました。それ以降も大きな土地を分けたときなどに新しい線が引かれることになりますが、これも同様に「筆界」と呼びます。一方、「所有権界」とは土地の所有者同士の所有権の範囲を示す線になるようです。「筆界」は公法上の境界の事を指すようで、「所有権界」は私法上の境界とも呼ばれているようです。

 

「所有権界」は所有者同士の話し合いや確認によって「ここまでが私の土地」という事の変更が出来ますが、「筆界」はそれができません。筆界は所有権界とは異なり、土地の所有者同士の協議で定めることができない性質のものなのです。また、原則として「筆界」と「所有権界」は本来一致しているべきものですが、諸事情により一致しないケースもあります。

 

その為、不動産購入前には、境界のチェックは重要となりますので、購入後のトラブルを回避する為には重要なチェック項目となります。


■境界確定の意味について!(購入後に気づくのでは遅い)


続いて、境界確定の意味について解説していきます。一般的に言われる「境界確定」とは、民有地と民有地、または道路や河川敷などの公共用地と民有地の境界を明確にする手続きのことです。

 

土地の所有者同士が筆界線を確認し合うことや、新たな境界図を作成したり確認書を取り交わしたりする作業のことを「境界確定」と認識している人が多く、不動産業界でもそのように説明されているケースは珍しくありません。しかし専門家の間では、裁判官が土地の境界を確定させることを境界確定と呼んでいます。裁判官は曖昧だったり不明だったりした筆界もしくは境界を定められる唯一の人物であり、裁判以外の方法で境界を確定させることはできません。なお、所有者間で境界を確認し合ったり確認書を取り交わしたりすることに関しては、土地家屋調査士の間で『筆界確認』と呼んでいます。非常に似たような表現が多い為、不動産購入前には注意して、「境界画定」と「筆界確認」の違いを把握しておきたいところです。


■将来トラブルを発生する原因になる?!『筆界確認』を怠ると、、、


土地を購入して、注文住宅を建てるにあたり、まずは敷地面積を正しく算定する必要があります。そもそも、建築基準法において、住宅を建てる前に境界を確認しなくてはいけないという決まりはありません。そこまでやる必要はないと判断し、現況の測量のみに基づいて敷地面積を算定するケースが多いです。

 

一般的には法務局が管理する登記事項証明書(登記簿謄本)や地積測量図を確認することは、最も手軽に筆界(境界)を調べる方法です。登記事項証明書には、土地の所有者、抵当権、所在、地番、地目、土地の面積が記載されています。また、地積測量図が備え付けられている場合は、その土地の寸法、位置関係、土地の面積の算定根拠なども記載されています。

 

しかし、歴史の深い土地の場合は境界の標識が見当たらなかったり、法務局に公図や地積測量図がなかったりすることもあります。また、公共用地である道路との境界線が曖昧な場合、家の敷地だと思っていた部分が実は道路だったという可能性もゼロではありません。そういったトラブルを未然に防ぐためにも、筆界確認(境界確認)を行い、正しい敷地面積を明らかにしたほうが安心です。また、近隣住民同士で所有権界の認識が異なることでトラブルになるケースがあります。

 

不動産購入前に、筆界確認(境界確認)を行う際、近隣住民が難色を示す場合もあります。その理由として、筆界もしくは境界を明確にしようとする動きの中で、古くから住んでいる方が不明確な状態にして過ごしてきた過去があるケースもあるからです。私の隣の家も2階のバルコニー部分が越境している事に気づかずに過ごしてきたため、私の自宅の土地に掛かっていて、分譲事業者が相談の上、隣の家に、一部の土地を販売した経緯がありました。

 

つまり、筆界確認(境界確認)には、その土地が抱える潜在的なトラブルを明確にしたり、問題を解決へ導くきっかけができたりするメリットがあります。将来的な近隣トラブルを未然に防ぎ、安心して建築や土地の売買をすることができるのです。また、筆界確認(境界確認)をすることで近隣にどのような人が住んでいるのかも分かります。スムーズに筆界確認(境界確認)に応じてくれる協力的な隣人であれば、今後のトラブル発生リスクも低いと考えられる為、不動産購入前のチェックは重要です。

 

今後の参考にお役立て下さい。

 

法人営業部 犬木 裕