2050年のカーボンニュートラルに向けて政府は30年度に温暖化ガス排出量を13年度比46%削減する事を目標にしています。実現には家庭部門の省エネも重要になる為、住宅のZEH化が進められています。これまでは戸建て住宅を中心にZEH化が進んできましたが、昨今ではマンションのZEH化が注目を集めています。そこで、今回は、「ZEHマンション」について解説をしたいと思います。
世界各国がカーボンニュートラルへの取り組みが進む中、日本でも国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携し、住宅の省エネ・省CO2化を推進しています。有識者会議のとりまとめでは。『30年における新築住宅で少なくともZEH基準の省エネ性能の確保』を目指すこと、『30年において新築戸建ての6割に太陽光発電設備が設置されている』事を目指すとしています。
■最近注目される住宅!そもそも「ZEH(ゼッチ)」とは何?!
ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略の事です。住宅の断熱性能を高め、エネルギー効率の高い設備の導入で「省エネ」を図り、太陽光発電などで生み出す「創エネ」でエネルギー収支を「ゼロ以下」にする住宅のことです。
まず知っておきたいのは、ZEHの集合住宅には省エネ率などによって種別があるということ。創エネを加えて100%以上の省エネ率を実現する『ZEH-M(ゼッチ・マンション)』から、省エネ+創エネ75%以上の『Nearly ZEH-M(ニアリーゼッチ・マンション)、省エネ+創エネ50%以上の『ZEH-M Ready(ゼッチ・マンションレディ)、創エネの導入を条件にしていない『ZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション オリエンテッド)』まで4つに分かれます。これは、高層マンションになるほど住戸数に対して太陽光パネルの設置が不足することから勘案された定義です。
■最近増えてきた、ZEH(ゼッチ)マンションの居住者の3つのメリット
マンションのZEH化は温暖化ガスの削減に貢献するとともに、居住者にも大きなメリットがあります。1つ目は住宅の省エネ化や創エネの活用によって、光熱費の負担を抑えられる事です。ZEHマンションに移り住んだ人の半数以上が電気代が安くなったと実感されているようです。
2つ目は、住宅の高断熱化によって、夏は涼しく、冬は暖かい快適な住環境が実現できることです。居室と廊下の温度差を抑えることも可能になり、ヒートショックなどの軽減にも効果が期待されています。
3つ目は、災害時にも自宅で一定程度の生活を継続できる可能性が高くなる事です。高層マンションの場合、停電によりエレベーターが止まってしまうと、外出が難しくなり、体力が衰えた高齢者には困難な状況となります。太陽光発電などの創エネ設備が設置されていれば、停電時もエレベーターが利用できる事が考えられます。また、水道には給水ポンプを利用しているケースが多く、公共水道に支障はなくても、停電によって水の供給がストップしてしまう事も懸念されます。しかし、設置された創エネ設備や蓄電池が稼働可能ならば、給水ポンプに電力を送る事が可能となります。
今後の住宅購入の際にはZEH(ゼッチ)マンションも含めてご検討いただければ幸いです。
法人営業部 犬木 裕