消費増税後の不動産購入のポイントについて
10月に入り、消費増税が行われ8%から10%に上がりました。2%の税率の違いは、不動産のような大きな買い物では影響も大きく感じられる方もいらっしゃると思いますので、本日は『消費増税後の不動産購入のポイントについて』と題して解説をしたいと思います。
正直、当社においては言うほど消費増税を意識しての駆け込み需要というものは無かったように感じます。
それも事前に政府からの対策提案(「住宅ローン減税」と「すまい給付金」の提案)があったからでしょうか?!
そもそも消費増税の住宅購入はどれくらい支払いが変わってくるものなのでしょうか?
年収500万円同士の夫婦を例に・・・
■「年収500万円同士の夫婦」を例に計算してみると下記のようなシミュレーションが考えられます。
今回の例は年収500万円の子どものいない夫婦(世帯年収1000万円を想定しています。
各々の所得税が約15万円、住民税が約25万円と仮定)の住宅購入を例。持ち分や費用負担も均等に行うものと仮定します。
まず夫婦が5000万円(建物部分2500万円、土地部分2500万円)の物件を購入する場合、消費税が課税されるのは建物部分のみなので、消費増税後の2%の税率の差の影響は約50万円(2500万円×2%)になります。
当社では定期的に消費者向けのセミナーを開催していますが、「土地には消費税がかからない」という事をご存じで無い方もいらっしゃいますので、この時点で消費増税の影響を意外と感じない方もいるかもしれません。
さて、適用される消費税率が8%か10%かで変化がある制度としては「住宅ローン減税」と「すまい給付金」が挙げられます。
■増税前と後では住宅ローン減税の期間に違いが出る
住宅ローン減税は消費税8%だと10年、消費税10%だと13年の減税をそれぞれ最大で受けることができます。
消費税10%が適用され、3年延長される部分は、「年末ローン残高の1%(当初10年と同じ計算)」と、「建物価格の2%の3分の1」のいずれか小さいほうの金額が減税になります。
夫婦が2500万円ずつ、35年返済、1%で借り入れを行った場合に受けられる住宅ローン減税は、夫婦の合計で消費税8%なら最大約444万円、消費税10%なら最大約494万円になります。
この差額の50万円で、建物にかかる消費増税の2%の差額50万円をカバーできる計算になります。
増税後に使える?!すまい給付金について
次に、すまい給付金です。これは消費税8%の場合は目安年収510万円以下で最大30万円、消費税10%の場合は目安年収775万円以下で最大50万円支給されます。
実際には年収以外に扶養家族による控除などを差し引き、住民税の所得割額で金額の判断がなされます。
すまい給付金の公式サイトでは給付額の簡易シミュレーションができます。
もしよろしければすまい給付金の公式サイトより、自ら計算してみる事をおススメ致します。
http://sumai-kyufu.jp/simulation/index.html (すまい給付金の公式サイト)
モデルケースの夫婦で試算をすると、消費税8%だと給付額は0円、消費税10%だと夫婦で合計30万円(一人当たり15万円×2人)の給付が受けられる計算になります。
ここまでで、消費税10%で購入したほうが、むしろ30万円有利になる計算になります。
※そもそも住まい給付金が受けられないような年収の方もいますので、ご注意下さい。
■既に消費増税は行われていますので・・・。
個人的には不動産購入に際して、既に消費増税は行われていますので、この議論そのものは意味をなさないかと思います。
不動産の価格については、一物一価ではなく、一物四価とも一物五価とも言われていたりしますので、不動産購入のタイミングによって、エリアや広さの類似物件については、購入時期に応じて価格が数百万円単位で変わるケースも良くあります。
中古の物件では、同じ建物内であっても、売り主の事情や考え方によって提示価格の強気さや値引き交渉の可否も変わり、ここでも数十万円から数百万円の価格差が良く変わります。
※中古物件で売り主が個人の不動産の場合、消費税はかかりませんので、ご注意下さい。
そう考えると、物件購入において、消費増税の影響はさほど大きなものではないと考えられます。やはり不動産購入の時期は増税うんぬんよりも「適切なタイミング」が重要だと思います。
エリアやどのくらいの大きさの物件を選ぶか、各家庭の経済状況などと照らし合わせて予算を検討するなど、自分で決めることができます。路線が変わったり間取りが変わることで、あっという間に500万~1000万円程度価格が変わることもあります。
まずは、なぜ不動産購入をする必要があるのか、購入の動機を満たすためにはどんな仕様の物件である必要があるのかなどを整理して、後悔のない不動産購入を目指していただきたいと思います。